よくあるご質問

当事務所に寄せられる、よくあるご質問をまとめました。
ご相談、ご依頼の参考にしてください。

後遺障害について

  • Q. 主治医の先生から、治療をそろそろ終えて、まだ痛みが続くようならば、後遺障害を申請するように言われました。後遺障害とは何でしょうか。
    A. 後遺障害とは、交通事故による傷害の治療が終了したときに残存する、当該傷害と相当因果関係があり、かつ、将来においても回復困難と見込まれる精神的または身体的な毀損状態をいいます。

    分かりやすく言いますと、治療が終わった症状固定時に残っている障害や痛みなどのことをいいます。

    治療が終わっても、まだ障害や痛みが残る場合には、後遺障害の等級認定を受け、後遺障害によって影響を受ける部分(仕事での将来的な収入減少や障害や痛みによる将来的部分の慰謝料です)について、損害賠償を受けることができます。

  • Q. むちうち症の労働能力喪失期間について
     むちうち症の後遺障害の場合、労働能力喪失期間が一般よりも短く設定されていると聞きました。むちうち症の場合は、一般よりお短い期間となってしますのでしょうか。
    A. 一般に、逸失利益が認められる期間は、症状固定時から稼働可能期間の終期年齢までの全期間となることが原則で、67歳までの期間を請求できます。

    もっとも、むちうち症の場合は、一般的に労働能力喪失期間が制限され、12級で10年程度、14級で5年程度に制限する例が多くみられます。これはむちうち症などの神経障害は、この程度の時が経過すれば治癒していくことが医学的に一般的な知見であることに基づいています。ただし、これらの期間制限が絶対的なものではなく、症状固定から相当期間が経過しても症状緩和がうかがわれない場合には、労働能力喪失期間がそれ以上に認められる場合もあります。

  • Q. 外貌醜状の逸失利益
     私は交通事故に遭い、顔面に6センチメートルにもなる線状痕が残り、後遺障害12級が認定されました。ですが、保険会社より、外貌醜状では逸失利益を認めないと言われています。私は外貌醜状による後遺障害の認定を受けても、逸失利益を請求することはできないのでしょうか。
    A. 外貌醜状によって逸失利益を請求できるかどうかは、醜状障害の内容及び程度、被害者の職業、性別、年齢などを踏まえて判断されることになります。その場合、近時の裁判例においては、外貌醜状について、生活上の不利益にとどまらず、対人関係円滑化の観点から労働能力の喪失及び程度を検討するという考え方が示されています。

    具体的には、一定割合で労働能力の喪失を肯定したり、逸失利益を正面から肯定しないまでも後遺障害慰謝料の加算事由として100~200万円の増額を行うなどの解決策が見られます。

  • Q. 逸失利益の算定にあたって、労働能力喪失率表に記載されている喪失率よりも、より高い逸失利益が認定されるのは、どのような場合ですか。
    A. 労働能力喪失率表に記載されている喪失率よりも、より高い逸失利益が認定されるのは、例えば、ピアニストが指の障害を負った場合や、画家に右手指の神経症状が残った場合が過去の裁判例で挙げられます。

    後遺障害による逸失利益の算定方法は、①後遺障害がなければどれだけの所得があったか(基礎収入)、②基礎収入が後遺障害によってどの程度減少したか(労働能力喪失率)、③その影響がどの程度の期間継続するのか(労働能力喪失期間)により、「基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間」という計算式によってなされています。

    この中の労働能力喪失率は、「いわゆる労働能力喪失率表を参考とし、被害者の職業、年齢、性別、後遺障害の部位、程度、事故前後の稼働状況等」を総合的に考慮して判断されます。

    実際の裁判においては、特に被害者の職業と後遺障害の部位との関連において、労働能力喪失率表より労働に与える影響が大きい旨の主張立証をしていくことが肝要です。

  • Q. 労働能力喪失率表よりも、低い喪失率しか認められない場合があると聞きましたが、どのような場合に、低い喪失率しか認められないのですか。
    A. 労働能力喪失率表に定められている喪失率よりも低く認定されるべきだと争われるケースとして、腸骨採取による骨盤骨変形、脊柱管変形、嗅覚・味覚障害、脾臓喪失、鎖骨変形、歯牙障害、腓骨の偽関節(仮関節)、1センチメートル以上(3センチメートル未満)の下肢短縮などが挙げられます。

    後遺障害による労働能力喪失率の判断は、損害保険料率算出機構の認定を参考にしつつ、被害者に存在する後遺障害が自賠法施行令2条別表の後遺障害等級表におけるどの等級に該当するかを検討した上で、労災における労働能力喪失率表に準拠して行われています。

    このような運用に対しては、そもそも労働能力喪失率表が身体障害と経済的労働能力の喪失との関係を科学的に調査して作成されたものではないことなどの批判があります。

    もっとも、本来損害賠償における労働能力喪失率の判断は、被害者の後遺障害の実情に応じてなされるべきです。そのため、労働能力喪失率が争われる場合には、個別具体的に経済労働力に与える後遺障害の影響を立証していくことが、被害者には重要な訴訟活動になります

  • Q. 「脳外傷による高次脳機能障害」の後遺障害とはいかなる内容のものでしょうか。
    A. 典型的な症状として多彩な認知障害、行動障害及び人格変化を示し、また、びまん脳損傷による場合、小脳失調症、痙性片麻痺あるいは四肢麻痺の合併も多いとされます。自賠責保険の後遺障害等級としては、その程度に応じて、1,2,3,5,7,9級の認定がされます。

    なお、高次脳機能障害は、次のように、それぞれで定義が異なり、多義的であることには注意が必要です。

     

    学術用語の場合 脳損傷に起因する認知障害全般を指す

    巣症状としての失語・失行・失認のほか、記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害など

    自賠責保険の場合 脳外傷後の急性期に始まり多少軽減しながら慢性期へと続く、典型的な症状として多彩な認知障害、行動障害及び人格変化を示し、主として脳外傷によるびまん性脳損傷を原因として発症すること等が特徴的な臨床像
    後遺障害の内容 認知霜害、行動障害、人格変化、社会的行動障害、小脳失調症、痙性片麻痺あるいは四肢麻痺の合併等

    (主な症状)

    ・認知障害・・・記憶・記銘力障害、注意・集中力障害、遂行機能障害などで、具体的には、新しいことを覚えられない、気が散りやすい、行動を計画して実行することができないなどです。

    ・行動障害・・・周囲の状況に合わせた適切な行動ができない、複数のことを同時に処理できない、職場や社会のマナーやルールを守れない、話が回りくどく要点を相手に伝えることができない、行動を抑制できない、危険を予測・察知して回避的行動をすることができないなどです。

    ・人格変化・・・受傷前には見られなかったような、自発性低下、衝動性、易怒性、幼稚性、自己中心性、病的嫉妬、ねたみ・強いこだわりなどの出現です。

     

    (後遺障害等級認定上の主な問題点)

    脳外傷による高次脳機能障害に典型的な脳画像所見もしくは意識障害所見の少なくとも一方がある場合は、後遺障害等級認定に大きな問題を生じることは少ないと思われます。しかしながら、そのいずれも欠く場合に、脳外傷による高次脳機能障害に該当するか否か、またその等級が争われやすいといえるでしょう。

    このような場合は、症状の経過や検査所見等を慎重に検討する必要があります。

  • Q. 高次脳機能障害の賠償において、被害者が子どもである場合の留意点はどのようなものでしょうか。
    A. 子どものに生じる高次脳機能障害の場合には、成人の場合と異なり、事故による異常の有無や程度は、ある程度被害者の成長を待たなければ判定できないことが多い点に留意する必要があります。他方で、障害の回復にあたって、脳の可塑性と、家庭での養護性の影響が大きいことから、被害者の症状(と思われるもの)が、事故との因果関係を有するかどうかが問題となることがあります。

    このことから、後遺障害の有無及び程度の判断時期を成人と同じように考えることは必ずしも適切とはいえません。

    具体的には、自賠責保険の高次脳機能障害認定システム(平成23年)では、「暦年齢によって、受傷後1年を経過した時期でも、後遺障害の判定が困難なことがある。後遺障害等級が1~2級の重度障害であれば、判定は比較的容易であるが、3級より軽度である場合、幼稚園、学校での生活への適応困難の程度を的確に判断するには、適切な時期まで経過観察が必要となる場合が多い。小児が成長したときにどの程度の適応困難を示すかについては、脳損傷の重症度だけでなく、脳の成長と精神機能の発達とによる影響が多い。」、「学校などにおける集団生活への適応困難の有無を知ってからであれば、成人後の自立した社会生活や就労能力をより正確に判断できる可能性がある。したがって、適切な経過観察期間、例えば、乳児の場合は幼稚園などで集団生活を開始する時期まで、幼児では就学児まで、後遺障害等級認定を待つ考え方も尊重されるべきである。」とされています。

  • Q. 軽度外傷性脳損傷(MTBI)による後遺障害等級が認定されることはありますか。
    A. 軽度外傷性脳損傷(MTBI)とは、「Mild Traumatic Brain Injury」の頭文字をとった略称です。

    一般に、頭部に直接の衝撃が加わり、硬膜外・下・くも膜下血腫、脳挫傷、びまん性軸索損傷などの脳損傷を負った場合、通常6時間以上の意識障害(昏睡)が生じ、また、CT・MRI画像で脳の器質的損傷が捉えられます。

    しかし、重度の意識障害が生じなくても、脳に損傷を負ったため、上下肢などの麻痺、視力・聴力障害、頭痛・めまい等の重篤な身体性症状が発症したり、また、記憶力・判断力などの認知障害や感情易変・攻撃性・自発性の低下などの人格変化などの高次脳機能障害が生じることがあります。

    このように、重度の意識障害がなくても、交通事故により脳に損傷を負った場合を「軽度外傷性脳損傷」といいます。「自賠責保険のおける高次脳機能障害認定システム検討委員会」の報告書においては、「頭部に何らかの外力が加わった事故のうち軽度なもの」と定義されています。

    頭部外傷のうち、事故時における意識障害がないか、あるいは極めて軽度(軽い脳震盪程度)であり、MRI等の画像上明らかな脳損傷を示す異常所見が乏しいものについては、器質的脳損傷に基づく高次脳機能障害は認められないのが原則です。

    ただし、画像上の異常所見は乏しいものの、事故時に一過性ないし軽度の意識障害が認められたケースにおいては、顔面骨折等頭部に強い衝撃を受けたことが推認されること、精神神経症状の程度、経過等を総合勘案し、高次脳機能障害を認定した裁判例もあります。