よくあるご質問

当事務所に寄せられる、よくあるご質問をまとめました。
ご相談、ご依頼の参考にしてください。

逸失利益

  • Q. 私は主婦をしていますが、交通事故に遭い、後遺障害が認定されました。主婦でも逸失利益を請求することはできますか。
    A. 単身で無職で暮らしている場合を除き、家事に従事している主婦でも交通事故により後遺障害が生じた場合は、逸失利益を請求することはできます。

    逸失利益を考える際の基礎収入は、賃金センサス第1巻第1表の産業計・企業規模計・学歴計・女性労働者の全年齢平均の賃金額を基礎に置きます。具体的には、平成28年時では、日額1万円弱となっています。

  • Q. 私はパート労働をしながら、主婦もしています。逸失利益の算定は、パート労働での収入を基礎として考えるのでしょうか。
    A. 職に就いていて収入がある主婦の場合には、その実収入が、賃金センサスを基にした平均賃金以上のときは実収入を基礎としますが、平均賃金を下回るときは賃金センサスによる平均賃金によって算定します。

    なお、兼業主婦であっても、就労による収入と家事従事者としての平均賃金を合算して請求することはできず、どちらか一方を選択して請求することになります。

  • Q. 私は、夫に先立たれ、現在75歳で一人暮らしをしております。先日、交通事故に遭い、高次脳機能障害という後遺障害が残存し、後遺障害5級2号が認定されました。私は、逸失利益を請求して、裁判所に認めてもらうことはできませんか。
    A. 主婦のような家事労働に経済的価値が認められる理由は、「他人に依頼すれば当然相当の対価を支払わなければならないのであるから、妻は、自ら家事労働に従事することにより、財産上の利益を挙げている」と考えられているからです。たとえば、夫と二人で年金生活をしている88歳の専業主婦のケースの場合、その家事労働は、「もはや自ら生活していくための日常的な活動と評価するのが相当」であり、逸失利益は認められないと考えられています。

    すなわち、家事労働の逸失利益の判断においては、他人のための家事労働と評価できるかがポイントとされており、高齢者の場合には、一人暮らしの場合だけでなく、逸失利益が否定されることがあることに注意しないといけません。

    ご相談のケースでは、専ら自己の生活のために家事を行っているに過ぎない場合には、逸失利益が認められないため、逸失利益が認められることは困難と思われます。

  • Q. まだ学生(幼児も含む)のときに、交通事故によって後遺障害が認定された場合、逸失利益はどのように考えられますか。
    A. 逸失利益を算定する際、賃金センサス第1巻第1表の産業計・企業規模計・学歴計・男女別全年齢平均の賃金額を基礎収入として考えます。女子年少者については、女性労働者の全年齢平均賃金ではなく、男女を含む全労働者の全年齢平均賃金で算定するのが一般的です。

    また、大学生であれば、一般的には大卒の賃金センサスを基礎収入に置くことになりますが、仮に大学生になっていない場合であっても、具体的な事案により大学進学の蓋然性が認められれば、大卒の賃金センサスが基礎収入に置かれる場合もありますので、被害者には積極的な立証が求められます。

  • Q. 私は会社で役員を務めていますが、先日交通事故に遭い、後遺障害の認定を受けました。逸失利益はどのように請求をすれば良いですか。
    A. 逸失利益を算定する際の基礎収入に関して、会社役員の報酬については、労務提供の対価部分は認められますが、利益配当の実質をもつ部分については認められないと一般的には考えられています。 

    この労務対価の考え方ですが、会社の規模、利益状況、当該役員の地位・職務内容、役員報酬の額、他の役員・従業員の職務内容と報酬・給料額、事故後の当該役員及び他の役員の報酬額の推移、類似法人の役員報酬の支給状況等を判断要素とし、これらを総合考慮して個別具体的に判断することになります。

    たとえば、大企業のサラリーマン役員の場合、役員報酬の全額が労務対価部分として評価されることが多いと思われます。一方、会社が小規模で当該役員が会社オーナーである場合やオーナーと親族関係にある場合などは、役員報酬中に労務対価性のない利益配当部分が含まれている可能性が大きいと判断されることが多いように思われます。もっとも、その職務内容が実質的に他の従業員とほとんど変わらず、報酬額も他の従業員の給料額と大差がないような場合には、役員報酬中に占める労務対価部分の割合は高いものと評価されると思われます。

  • Q. 私は、前の仕事を辞め、次の仕事を探しているときに交通事故に遭ってしまい、後遺障害の認定を受けることになりました。無職なのですが、逸失利益は請求できますか。
    A. 事故当時において無職であったとしても、通常の労働能力及び労働の意思があり、就労の蓋然性が認められる場合には、逸失利益を請求することができます。

    逸失利益の算定にあたっては、再就職によって得られるであろう収入を基礎としますが、特段の事情がない限り、失業前の収入を参考にすることになります。

    ただし、失業前の収入が平均賃金以下の場合には、平均賃金が得られるであろう蓋然性が認められれば、男女別の賃金センサスに基づいて算出することになります。

  • Q. 外国人に交通事故によって後遺障害が生じた場合、その逸失利益はどのように考えることができますか。
    A. まず、日本国内に永住者資格を有している外国人や、永住者に準じる定住者資格等の外国人については、日本人と同様の算定方法により、逸失利益を算定することができます。

    一方、そうではない外国人の方の事故の場合、在留資格や在留期間等を考慮して、日本の賃金水準を基礎として評価する場合や、母国の賃金水準を基礎として評価をする場合など、当該外国人の状況を個別具体的に考えて評価していくことになります。

  • Q. 交通事故により従業員が負傷してしまい、他の従業員では医薬品配置販売業務を行えなかったことから、会社を一時的に休業せざるを得ませんでした。この事故によって生じた営業上の売上損失について、会社(又は雇い主)が加害者に損害賠償請求をすることはできませんか。
    A. 従業員の負傷によって会社に損害賠償請求が認められる場合は、従業員と会社とが経済的に一体を成している場合や、その他特段の事情がある場合に限られています。事業の経営者は、通常従業員が不時の災害を受けても営業に支障を生じないようにあらかじめ対応策を講じておくべきであり、事故に遭った従業員に代替性がないことのみをもって、事故と会社の損害との間に、相当因果関係を認めることができず、会社は加害者に損害賠償を請求することはできません。

    会社が損害賠償請求をできるときは、経済的に一体を成している場合、すなわち被害者が従業員ではなく会社経営者(役員)であり、被害者である当該個人に実験が集中し、同人に会社の機関としての代替性がなく、経済的に同人と会社とが一体を成す関係にあるものと認められる場合には、会社が事故による損害について加害者に損害賠償請求をできることになります。

  • Q. 私は交通事故に遭い、脊柱の奇形障害が後遺障害として残り、後遺障害等級11級7号が認定されました。ただ、事故後も、自分の体に鞭打って働き、毎年の昇給はなされていますので、事故による現実の減収が発生していません。この場合でも後遺障害の逸失利益は請求できますか。
    A. 逸失利益認定の考慮要素として、①現在および将来の昇進・昇給等における不利益があるか、②後遺障害の部位・内容・程度と被害者の業務の具体的内容との対応関係からみて業務への支障があるか、③従前の業務に支障が生じたため配置転換を余儀なくされたなどの事情があるか、④勤務継続の不確実性に関する被害者側の事情として退職・転職の可能性があるか、⑤勤務先の事情として勤務先の規模、業績、雇用環境や勤務先を取り巻く状況はどうか、⑥被害者の我慢・忍耐による勤務継続、⑦後遺障害による症状自体を軽減させる努力、⑧業務上のハンディキャップをカバーするための努力および職種を変更し、あるいは業務自体をレベルアップさせる努力をしているか、⑨勤務先の配慮や温情に支えられているか否か、⑩生活上の支障があるかなどが挙げられます。

    その上で、減収が発生していないことについて特段の事情があったり、将来の減収の可能性があれば、逸失利益が認められる場合があります。裁判例においても、労働能力喪失率や労働能力喪失期間を制限的に解しながら、逸失利益を制限的に認めている例が少なくありません。

    これらの事情を総合考慮して判断されることになりますが、請求できる場合があります。

  • Q. 私は事故に遭い、後遺障害等級12級が認定されましたが、会社の勤務を続けることができず、やむなく退職し、約1年間求職しましたが、数十社から不採用となり、事故前の収入から大きく減収してしまいました。実際の減収分の請求はできないのでしょうか。
    A. 労働能力喪失率は、自賠責保険の後遺障害認定等級を参考にしつつ、被害者の年齢、職業、後遺障害の部位・程度、当該被害者の職業に対する具体的な程度等諸般の事情を総合して判断されます。

    自賠責保険の後遺障害等級に基づく労働能力喪失率以上に収入の減少が生じると認められる場合には、その収入減少率と後遺障害による労働能力喪失との間に因果関係があれば、収入減少率を考慮して、労働能力喪失率を決定することとなるでしょう。

    ご質問のケースも、このような総合判断のもとで、労働能力喪失率を大きくすることで、実際の減収分の請求までには届かずとも、できるだけ多くの賠償額を得られるよう努めることが大切です。